どっきゅん☆

三番隊組長斉藤一は巡察を終えて少し遅めの昼食をとり、

部屋へと向かう廊下をさっそうと歩く。

「ん?」

  ふと足を止めると、縁側に部屋からはみ出した小さな白い足。

(かっ…神谷っ)

  どっきゅんな胸を押さえ走り出そうとすると、

ス〜と気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。

  見ると積み上げられた自分、沖田、セイの蒲団に背をもたれかけさせて

足を投げ出し気持ち良さそうに眠っていた。

  天気も良いので巡察前に干しておいてくれたのだろう。

笑みがこぼれる。

となりに腰を下ろす。

セイは斉藤の重みで傾いた蒲団から体がくずれ、

斉藤の肩にもたれる形になった。

どっきゅん

(か、神谷の息っ、神谷の…っ)

  まったく起きる気配のないセイに、することもなく隣なりにいると、

セイのおだやかな寝息に意識が集中してしまう。

触れたくなって柔らかそうな頬に手をのばす。

「…ん〜」

セイが気配を感じたのか身をよじった。

(いかんっ、いかんぞ一っ!!)

己の煩悩と戦い中、

  ホントに気持ち良い春の陽気で、縁側からのぞく風景は、

泣く子も黙る新選組の屯所内とは思えないほど穏やかである。

こんな一時も良いのかもしれない。斉藤もつられてウトウトしだす。

「・・・っ」

  目が覚めたときには、辺りはもう真っ赤な夕焼けで、

斉藤は長いことグッスリ寝入っていたことに気がついた。

隣を見やると、セイかまだ起きる気配もなく眠っている。

「ん〜」

くぐもった男の声。

声がする方を見るとセイを挟んで向こう側に、

もう一人の部屋の住人、沖田総司が眠っていた。

「・・・」

(こやつっ、いつの間にっ!)

斉藤の片眉がピクリと上がった。

外からは、心地好い風。

少し汗ばんだ体には丁度良い。

巡察を終えた原田たちが戻ってくるまで、

しばらくセイの隣でまどろみを楽しむ斉藤だった。

 

斉藤先生ガンバレってカンジで。
2003.06.15  空子
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