君の隣りで

 

休日。

左之助は庭に出ていた。

庭の片隅に立つ大きな桜の木が綺麗に花を咲かせたので、酒を片手に下り立ったのだった。



「良いもんだなあ」



幹に背を預けて見上げると、気持ち良くて酒が進んだ。

「あ〜っ!何してはるの!」

ドカドカと廊下を走るのは愛しのおまさちゃんで。

「体でも壊したら・・・・なに?」

左之助を見ると、おいでおいでと手招きをしている。

「・・・人の話聞かないんやから」

頬を膨らませると、ふいっと部屋に戻ってしまった。

「つれないなあ」

ちぇ〜と残念そうに視線を空へと向けると、突然何かに視界を遮られた。

「?」

降ってきたのは綿入れだった。

「風邪でもひかれたらうちが困るし」

まさが飽きれつつも庭に降りてきていた。

自分も暖かい格好で。

相変わらずな不器用な表現が可愛くて仕方ない。

「な、なんやの」

愉快そうに笑う左之助に思わず一歩下がる。

「まあまあ」

逃げないようにやんわりと手首をつかまえると隣に座るように促した。

まさも観念して腰を下ろす。

 





「・・・綺麗やねぇ」

溜め息と共に呟かれる。

聞こえたその声が心地好くて、もっと近くで聞きたくて、左之助は少しだけ近付いた。

「な、なに?」

肩が触れてまさが肩を引く。

「こういうのもたまには良いなぁって思わねえか?」

団子を頬張りながら左之助が言う。

「・・・そうやねぇ」

外で地べたに座り込むなんて考えられないことだった。

(知らんことばっかやってんなあ)

一緒になっていろんな初めてがたくさんあった。

土にこうして触れること。

お団子を汚れるのも気にせず頬張ること。

・・・・大切な人が隣にいるということ。


「こういう時間、もっと増やしてえなあ」




左之助がギュッとまさの手を握る。

大きな手。

手を合わせることにまだ慣れなくて、鼓動が跳ねる。


「・・・うん」


「・・・おまさちゃん、手冷てぇ」

「うるさい」

笑う左之助を一つぽかりと叩いた。

お酒も入り、暖かなひだまりの中にいるからか体もポカポカ。

気持ちも穏やか。

だんだんと眠くなってきてしまい、まさは小さくあくびをする。

「ふぁ〜あ」

左之助も隣で大あくび。

「真似せんといて」

「真似してないし」

「した」

「してない〜」

「した」

「してないって〜」

何度かそんなやりとりを交わして顔を見合わせると二人して笑いだす。

こんな時間が愛おしい。

 

 



サラサラと舞い散る桜の花びらを見つめながら左之助がまさの投げ出した足を枕にゴロリと横たわった

「なっ」

慌ててまさがまたポカリと頭をたたいた。

「たまには良いじゃんよ〜」

諦めて体を起こそうとした時だった。

「・・・・」

ふうわりと、小さな溜め息と共に柔らかい手のひらに額をなでられる。



顔をあげると綺麗なまさの笑顔。

 

左之助は満足そうに笑うと瞳を閉じる。

 

しばらく このまま 君の隣で

 

 

美希さまお待たせいたしました〜^^
題材にした曲は、レミオロメンの「南風」です。
聞けば聞くほど、左之助とおまさちゃんが浮かぶのです☆
ご存じの曲でしょうか・・・。それだけが心配。
マイナー路線まっしぐらで申し訳ないです><
大好きな曲なので、ご存じでなければ一度聞いて頂けると嬉しいです^^

リクエストありがとうございました!!
もらって頂けると嬉しいです。
そしてこれからもよろしくお願い致しますm(__)m

2005.06.24 空子


 

 

 

 



 

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