子供の考察


時代は文久。

まだ新選組の名を拝命していない頃。

京の町の人々は、近藤・芹沢一派を壬生狼と恐れていた。

子供たちも例外ではなく・・、

「沖田はんと神谷はんはこわないな」

「あとは?」

「すこ〜し気にならん?泣く子も黙る壬生狼やで。度胸試しにはぴったしや」

子供たちは顔を見合わせて屯所の方を見た。

じゃんけんで負けた子供から二人一組で屯所へと忍び込むことにした。

「ほな行こ」

為三郎は二つばかり年下の気の弱い友達、辰之助の手を引っ張った。

 

「きゃ〜っ!!」

 

奥のほうから子供の悲鳴が聞こえる。

「やっぱり帰ろうや〜」

辰之助は為三郎の袖を引っ張った。

そ〜っと部屋を覗き込む。

「あっ!」

叫ぶ辰之助の口を手のひらで慌ててふさいだ。

中で隊士が何人も倒れている。

(し、死んでるん〜??)

二人は顔を見合わせて半泣き状態。

 

ドンッ

 

後ずさった拍子に何かにぶつかった。

おそるおそる振り返ると、

「・・なにをしている?」

眉間に皺を寄せて鬼の形相で立っている男がいた。

「あ・・」

部屋と男を交互に見た。

 

(もしかしたら、この人の仕業なのかもしれない)

 

二人の喉がヒクリと鳴った。

男はニヤリと笑った。

「見られちまったんじゃあ仕方がねえ」

むんずと二人の襟を猫つかみするとズルズルと引きずる。

「は、はなせ〜っ」

ばたばた暴れるが相手はびくともしない。

二人は男を見上げた。

男はニヤリと笑い、

その鬼のような顔を見て辰之助は半泣き状態になった。

 

 


男の足が一つの部屋の前で止まった。

「入れ」

二人はおそるおそる障子を開く。

中には先に忍び込んでいた子供たちが

セイのまわりでお菓子をおいしそうに頬張っている。

「にいちゃ〜ん」

弟がかけよってくる。

「八木さんのご子息だね。驚かせて申し訳ない。トシも度がすぎるぞ」

「からかいがいがあるからついな」

笑いながら乱暴に為三郎の頭をなでた。

さっきとは違った子供のような屈託のない笑顔。

為三郎と辰之助の頭には『?』だらけだ。

「土方さんは人をからかうのが大好きなんですよ。私もよくいじめられました」

沖田が二人を手招きしてお菓子とお茶をだした。

「部屋で倒れとった人たちは?」

「稽古でばててたんだろうよ」

トシと呼ばれた男が笑った。

「どれ、驚かしたわびに面白いものを見せてやろう」

近藤は拳をつくると、

子供たちが見守る中でそれを口の中にいれてしまった。

 

「きゃ〜っ!」

 

子供たちは驚いて、一瞬後には幼少組は泣き出してセイにしがみついた。

近藤はばつが悪そうに頭をかいた。

「おい、神谷っ。ガキ同士遊んでこい」

溜め息をついて土方がいった。

「・・・ここにいると、鬼副長に食べられちゃうから行こうか♪」

セイは土方に向かって舌を出し、子供の手を引いた。

「私もいきます〜♪」

沖田も続く。

「また遊びに来なさい。お菓子を用意して待ってるからね」

近藤の言葉に子供たちは喜んだ。

 



「あっこはな、竜宮城みたいなとこやな。」

それからしばらくの間、

子供達の間では壬生浪士隊の話題で持ちきりだった。

屯所からは度々子供の悲鳴と笑い声が響き渡っていたとかいないとか・・。

 

好奇心旺盛な子供のこと
話題の中心に度々のぼっていただろう
新選組の屯所に忍び込んだりとかも
したんじゃないかなぁと思ったのがきっかけです^^
(あ、辰之助は勝手に作りました・・・)

2003.07.19  空子

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