明里から珍しいものをもらった。

それは綺麗な和紙で包まれた筒状のもので、

丸い小さな穴から中を覗くと、綺麗な模様が写し出される仕組みのものだった。



カレイドスコープ



くるっ、くるっ。


天気の良い昼下がり、

縁側に座り込んでセイは先日明里からもらった万華鏡を楽しんでいた。

「キレー・・・」

初めて見る小さな世界にうっとりとなりながら、クルクルと変わる模様を

不思議な感覚で見ていた。



こつんっ



呟くと、突然視界が暗くなり軽い衝撃。

「痛った〜」

「なーに見てるんですか?」

目を押さえて視線を上げると

沖田が庭から縁側に両手を置いて笑いながら自分を覗きこんでいる。

「わっっ」

間近にある沖田の顔に驚いて後ずさった。

「ひどいですよ、神谷さ〜ん」

(こんなに近くにいたら驚くよっ)

まだ心臓がバクバクいっているのがわかる。

「私にも見せてくださいよ〜」

子供のような瞳でせがむ沖田に苦笑しながら万華鏡を手渡した。

「おぉぉ〜」

嬉しそうに簡単の声を上げて覗き込む沖田が感嘆の声をあげる。

その様子を隣で見ていると笑いが込み上げてきた。

「なんですか?」

セイが苦しそうに笑いながら腹を抱えているのに気がついて

沖田が万華鏡から目を離した。

「ぶっ」

今度は大きく声を出してセイが沖田の顔をみながら笑い出した。

「な。なに?何かありました」

「か、顔っ目の回りに・・・・っ。あははははっ」

沖田はゲタを脱ぎ捨てバタバタと縁側に上がると隊士部屋にあった鏡を覗き込んだ。

「・・・・・・・・」

セイの笑いの理由が理解できて沖田は目の辺りをこすりながら縁側へと戻ってきた。

余程熱中して見ていたのか、沖田の目の周りにはくっきりと覗き穴の痕がつき赤くなっていた。

「だって、初めて覗いたんですよー。ついつい目近づき過ぎちゃいましたよ」

まだ腹の辺りを抱えて涙目で笑うセイに言い訳をした。

「い、いいんじゃないですか?私も、初めてですしっっ」

笑いをこらえているセイの姿に沖田が少しむくれて

セイの手元に視線を移したとき、思いついたように悪戯っぽく笑った。

「?」

「コレはお預かりします!」

「え?」

間近に沖田が近づいたかと思うと、ひょいと万華鏡を取り上げられて

セイは突然の出来事に対応できなかった。

「あ〜、やはりキレイですねぇ♪」

「ひどっ!」

セイも立ち上がり、万華鏡を取り返そうと手を伸ばした。

「目上の者をからかったバツですよー。しばらく堪能させていただきますvv」

背の差からか、セイの手は万華鏡には届かない。

「私が明里さんから頂いたんですよー」

「渡しませーん」

「鬼たいちょーっ」

振り上げた手はパシリと難なく受け止められて、セイは悔しくて沖田を見上げた。

「・・・・・・・・・・」

しばらくそのまま止まってしまう。

「・・・センセ?」

「ホント、万華鏡のようですねぇ」

見ていて飽きませんよ。と万華鏡をセイに手渡した。

笑ったり、怒ったり、泣いたりと童子のようにクルクルと

この万華鏡のようによく変わるセイの表情。

「?」

「なんでもないんです」

ポンポンとセイの頭を軽くたたいた。

「変な先生」

セイは万華鏡を受け取ると覗き穴を覗き込んだ。

その様子は本当に楽しそうで、沖田は小さく微笑んだ。

 

セイちゃんみたいな女の子、かわいいですよねv
異性への感情とかではなくて、
セイちゃんは、普通に可愛いなぁと思われる子なんじゃないかなぁと思って書きました。
ただ、今の時代にある万華鏡はセイちゃんたちの世よりもまだ後のようですよね。
でも、万華鏡の前身のような物はあったらしいということで、
ここでは現代の万華鏡をイメージして書かせてもらっちゃいました^^
小さい頃、たまたま万華鏡教室みたいのがあって母と妹と作りに行ったことを思い出したので
こんなお話浮かびました^^

2004.07.05 空子

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