このお話は、500Hitキリ踏んでいただいた、
 金犀様にリクエストいただいて作成したお話です^^
「祭」読んでからごらんいただいた方が、状況とかも
わかりやすいかと思われます^^

 

恋々

祭り会場に置かれた休憩所。

可愛らしい桃色の浴衣を身に纏ったセイが沖田の横に腰を下ろし、

買ってもらった風車に息を吹きかけ回して楽しんでいる。

その様子が可愛らしくて、沖田は団子を持った手を止め見入っていた。

「沖田先生、私もっと歩いて回りたいですv」

久し振りに女子に戻ったセイは嬉しくて無邪気に沖田の袖を引っ張った。

「仕方ないですねぇ」

言いながらも沖田は満更でもなさそうに立ち上がった。

「総司じゃねえか」

聞き慣れた声がする。

思わず二人ともそちらへと視線を向けた。

「「は、原田さんたちっ」」

二人は顔を見合わせて大慌て。

沖田がぐいっとセイを引っ張り駆けるが

原田達も女子連れの沖田を見逃すはずがなく追いかけてくる。

( どぉしよ〜っ )

不安になって、前を走る沖田に視線を向けた。

「神谷さん、私の背中に隠れてなさいね」

沖田は観念したのか立ち止まり、

三人から隠すようにセイの前に立った。

「めずらしいなあ、どちらの娘さんだよ?」

原田が興味津津に覗きこまれて、

セイは沖田の背中に張り付いて顔を伏せた。

「ちょっ、原田さーんっ^^;」

沖田が慌てて手をパタパタさせている。

「左之、娘さん怖がってるじゃねぇか」

言いながら永倉もセイのことが気になるらしい。

「紹介してくれないの?」

藤堂はにこにこ顔。

なんだか居心地が悪い。

 

(悪いことしてないのに・・・)

 

正体を明かすことができない自分。

沖田の動揺が背中越しに感じられて、

堂々と表に出られないのが悲しくて、

涙が出てきた。

 

(もう、こんな格好ヤダ・・・)

 

迷惑かけるなら、綺麗な着物も意味がない。

泣いているのに気付いたのか、

三人の視線がセイへと注がれて止まってしまった。

沖田が気づいて、くるりとセイへ向き直り

視線から庇うように抱き締めた。

「恥ずかしがり屋さんなんですよー。

だから、いじめないでくださいね」

セイの頭をあやすようになでた。

 

「驚かせてごめんね。今度、屯所にも遊びにおいでよ」

沖田の態度にしばらくあっけにとられていた三人だったが、

ハタと気づいて藤堂が言った。

沖田の腕の中でコクリと頷く。

永倉と原田もほっと胸をなでおろした。

「じゃな、総司。娘さんもまたな」

三人は来たときと同じように軽い足取りで雑踏の中へ紛れていった。

 

「びっくりしちゃったんですね。もう大丈夫ですよー」

よしよしと頭をなでてくる。

(違いますっ!)

沖田の言葉に涙も引っ込んだ。

からかわれているのかなあと思ったけれど、

沖田にセイを離す気配がない。

「・・・センセ?」

しばらくされるがままになっていたけれど、

急に恥ずかしくなって、セイは身じろいだ。

「・・・いい香りがしますね。おセイさん」

「え?あ、明里さんのですかねー」

明里の側は、いつも良い香りがするのだ。

「違いますよ。あなたの、ですよ」

顔を上げると、いつもと違う沖田の目があってセイは戸惑ってしまう。

「や、やだなー、センセ。

ほら、そろそろ帰りましょう。ね?ね??」

沖田の背中をポコポコたたいたり、着物を引っ張ったり。

セイの様子に沖田は大笑い。

一瞬、抱いた腕を強くしてから解放した。

頬に、温かな感触・・・。

 

「・・・・・」

 

(コレって、コレって、え?え?)

 

セイは頬を押さえて真っ赤になった。

その様子に沖田はクスクス笑いながら手を出した。

「帰りましょーか^^」

手を差し出されてセイは躊躇してしまう。

正直、ちょっとだけ怖かった。

「お団子でも買って帰りましょう♪」

いつもの沖田に戻っているようで、

セイはホッとして手をとった。

 

( なんか変 )

 

さっきのことがあってから、ちょっと・・・・。

大きな手、温かな力強い腕、頬に感じた温もり・・。

違う人に感じられた。

いつも以上に意識してしまう。

 

トクン トクン トクン

 

頬が熱くなってくるのがわかる。

 

 

『沖田センセに対する気持ちが深くなったんよ』

 

 

明里の言葉を思い出した。

( そっか・・・ )

こういうことなのかな・・・?

セイはもう一度沖田を見上げた。

ん?と首を傾げて沖田がセイを見る。

「・・・また、連れてきてくれますか?」

おそるおそる訪ねてみる。

「この浴衣着てくれればね♪」

言いながらセイの浴衣の袖に触れた。

(それは女子の姿でも良いってこと・・・?)

「はいv」

嬉しくなって、笑顔で答えた

 

このヒトが好き。

明里の言葉が少しだけわかった気がした。

 

はい、終了ですー。

初挑戦ラブラブな二人。。。でしょうか(爆
このくらいしか書けなくて申し訳ないです〜っ(汗
でも、楽しかったですv

リクエストありがとうございました^^

2003.07.19   空子

 

■ おまけ ■

屯所に戻ってみると、なんだかいつも以上に騒がしい。

何かあったのかな?

人垣ができていたので、二人で近寄ってみると、

「総司のやつな、ホントに惚れてるらしくてな、

優しい顔して、こうギュ〜ッとっ・・・」

言いながら原田が藤堂と抱き合っていた。

周りからは笑いとヤジが飛んでいる。

「・・・・なっ、なっ、あれっ、あれ〜っっ」

セイは真っ赤になって口をパクパクとしている。

「ま、いいじゃないですかー、本当のことですしv」

「・・・え?」

どういう意味で言ったのか、

沖田は愉快そうにその場を立ち去った。

後を追いながら、先ほどの原田と藤堂を思い出す。

(ちゃんと、普通の男女に写ってた・・・?)

嬉しくて、小走りに沖田に駆け寄った。

 

屯所内ではしばらく、この話題でもちきりだった。

が、当の本人は何も応えず笑顔だけだったりして、

様々な憶測がとびかっていたという・・・。

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