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部屋をあつらえてもらい沖田を寝かせると、

セイはとりあえず自分と沖田にかかった血のりを落とし、

枕元に座って落ち着いた。

「大丈夫ですから」

沖田はセイに背を向けてしまった。

(全然平気じゃないじゃない)

無理やりにでも屯所へと連れ帰れば良かった。

「すみません、沖田先生」

いたらない弟子ですみません。

こちらを向いてもらえないのは、いたらない自分にあきれたからなのかもしれない。

セイは頭を垂れた。

いつまでたっても荷を半分も持たせてもらえない。

いつになったら、横に並べる存在になれるんだろう・・・?

セイはふいに熱くなった目頭を押さえた。

悟られないように場を立つ。

窓辺に腰掛けた。

 

 

「神谷さん・・・」

「・・・はい?」

突然呼ばれて狼狽する。

「いたらない上役ですみません」

「え?」

沖田がゆっくりと起きあがる。

手招きされて近寄った。

「・・・私、神谷さんは自分で守れるって思い上がっていました」

「?」

「女子だから、手を汚させないようにって思っていて・・・」

「沖田せんせ・・・?」

「でも・・・」

手をとられる。

手抜き緒の痕をなでられた。

セイはドキリとして沖田を見上げる。

「私の傲りだったようですね」

泣いていたのがわかったのか、沖田はセイの目の縁をなでた。

「そんなことはありません。沖田先生がいてくれたからこそ私はここまでこれたんです」

セイは慌てて答えた。

ぐいと目元をぬぐう。

「ですが、あなたは女子なのに・・・」

聞いていて、セイには気にかかることがあった。

(さっきから、女子女子って・・・っ!)

「私は武士です!いつまでも守られてばかりの童ではありませんっ」

「でも・・・」

「くどいですっ!!」

(いつもは女っていうことキレイに忘れてるくせに、

こういう時だけそう思われるのは悔しいっ)

「私は、真の武士になるんですっ」

(自信を持って先生の隣に立ちたいから)

「いつから、私はこの手に守られるようになったんでしょうね」

沖田は溜め息と共につぶやいた。

手を戻される。

「・・・そう言っていただければ本望です」

しばしの沈黙。

セイは見つめられて、耐えきれずに視線をはずした。

「と、とりあえず休んでください。

ここの場所も屯所に伝えてもらってますから、じきに使いが来るでしょう」

「そうですね。休ませてもらいますね」

沖田はおとなしく横になった。

すぐに寝入ってしまったようなのでセイも安心する。

額に触れると、まだ少し熱かった。

セイも張っていた緊張の糸が切れたのか、睡魔におそわれて隣に寝ころんだ。

 

 

 

「・・・い。おい、神谷」

誰かに揺さぶられる感覚。

セイは瞳をあけた。

「ふっ、副長!」

眠気は一気に覚めて、正座した。

「いい。がんばったな。礼を言う」

セイの頭をくしゃりとなでた。

てっきり使いが来ると思っていたのに、副長自ら出向いてくれたらしい。

沖田も、体調が幾分良くなったようで、土方の隣に座りニコニコ笑っている。

(起こしてくれたら良かったのに)

沖田をにらんだ。

 

 

守られていることに気付かずに、前をいく彼の背中をずっと追っていた。

隣に立てる武士に、少しは近づいたのかな・・・?

少し嬉しくなってセイは小さく微笑んだ。

 

 

読んでくださった方、ありがとうございましたm(__)m
すみませんー、長くなってしまいました><
リクエスト内容に添えているのでしょうかー(T▽T)

シリアスで、阿修羅なセイちゃん登場ということで、
セイちゃんの、武士としての部分の成長についてをテーマに書かせていただきました。

そして、ちょっとは総司にセイちゃんを意識して欲しいなと思いつつ、
シリアスなのか、無駄に長いだけなのかなお話になりました><

こんなんですが、もらってやってくださいませm(__)m

リクエストありがとうございました^^
また、よろしくおねがいします☆☆

2003.08.05   空子

 

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