その温もりに
皆が出払った室内の片付けを終えた冬の午後。
穏やかな陽射しの差し込む部屋の中で、セイは両足を投げ出して座り込んだ。
朝のひりりとした空気の冷たさはなりをひそめて、日が昇るにつれて温かくなった空気はしっとりと汗をかいた肌に心地良い。
その心地良さに瞼が次第に重くなってくる。
体がゆらゆらと揺れる。
この心地良さに逆らう術も無く瞳を閉じた。
くしゅん
心地良さに油断をしてしまった。
自分のくしゃみに一瞬だけ覚醒する。
動くのに邪魔だったので、着ていた綿入れを脱いでしまった薄着の自分。
このままではいけないと分かっていても、少しずつ、少しずつ、深い眠りへと誘われていく。
「風邪、引きますよ?」
夢か現か。柔らかな声が降ってくる。
わかっているんです。
でも、とても気持ちよくて・・・。
くすり と僅かに空気が揺れたのを感じた。
「こうしていたら、温かいでしょう?」
はい・・・。
声と共に、ふんわりと自分を包んだ温もりを、もっと近くに感じたくて、
より一層身を寄せると、意識を手放したのだった。
2008.01.06 空子
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