宇宙(そら)を見上げて

 

「流石に食べ過ぎましたかねぇ」

沖田がおなかをさすりながら歩いている。

隣を歩くセイが呆れ顔で沖田を一睨み。

「さぁ。おなか壊さなければ良いですけどねー」

最近では沖田の甘味好きと、その尋常ではない食欲になれてしまったのか

驚いたりはせずに冷たく切り捨てる。

「冷たい・・・。神谷さんだって大変な量食べてたじゃないですかー」

普通あんなに食べませんよ。

自分のことは棚に上げ、沖田はぶちぶちと小さく言った。

「なっっ」

思い返してみればセイは4杯平らげている。

前はもう少し少ない量で満足していた筈だった。

(育ち盛りですからねぇ)

そう思えば少し微笑ましい。

「沖田先生、少し走りましょう!」

「え?」

「その分だけ動けば良いんです!」

突然のセイの言葉に反応できない自分がいた。

走り出したセイが振り向き意地悪く笑う。

「負けた方がお団子一串おごりですよーっ」

「そんなー」

出遅れた沖田は後方約10歩といったところ。

加速し小さくなる背中が見える。

沖田にちょっと仕返しできたことが嬉しいのか、セイの背中は楽しげだ。

 

 

「・・・どうしたんです?・・・え?」

道の真ん中で立ち止まるセイに声を掛けると、突然袖を掴まれて少しだけ慌てる。

「見てください、沖田先生!」

セイの伸ばした指の先には満天の夜空。

三日月の淡い光しかない夜空には、ここぞとばかりに存在を誇示する無数の星たち。

宇宙を見上げて、引っ張られたままの袖を見る。

視線を流して、いつもより距離の近いセイを見る。

「・・・・・・・・・」

沖田は少しだけ鼓動が跳ね上がるのを感じた。

「・・・神谷さん」

「はい?」

視線を自分に戻し微笑む真っ直ぐな視線を受けた。

「・・・いえ」

「変な先生」

自分に触れる指の、仕草の、雰囲気の柔らかいこと。

感じて何だか照れくさい。

宇宙を見上げて軽やかに歩くセイの指が離れていく。

名残惜しそうにその指を見送って、沖田もセイの後ろに続くのだった。


 

沖田先生覚醒間近の設定で(笑)

2007.04.30 空子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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