夢を見る方法

 

久しぶりに『神谷流』の稽古の時間がとれた。

(・・・少し早く来すぎてしまいましたねぇ)

セイは土方の使いで黒谷へ行っている。

待ち合わせの時間にはまだ早い。

総司は少しだけ重く感じる体を眼下に京の街を見下ろせる見通しの良い場所に腰を下ろした。

雲が厚くて少し曇りがちではあるけれど、一歩外れた所から見下ろす京の街は穏やかな情景で

今も命の駆け引きが行われているかもしれないということが想像できない。

 

街の様子を見て思う。

刀を差さない生活。

日々を家族の為に費やす日々。

それは、もしかしたら幸せなことなのかもしれない。

 

総司は溜め息をついた。

「・・・・なんでしょうねぇ」

以前はそんなこと思いもしなかったのに。

 

コホンッ


むせるような感覚に一つ咳をする。

 

コホッコホッ・・・・・



胸を押さえる。

初めはただの風邪だと思っていた。

でも、あの日。掌に鉄の臭いが広がったとき、自分の体に起こったことを理解した。

 

自分を心配しすぎる近藤と土方そしてセイ。

大事な時期に心配をかけるわけにはいかない。

 

コテンと体を倒し、草の臭いを嗅いだ。

土の匂い。草の匂い。何だか落ち着いた。

 

何を見つめて、どこへ向かえば良いのだろう?

 

ふいに浮かんだのは・・・・・・。

 

「・・・・神谷、さん・・・?」

 

「申し訳ありません、先生!遅くなってしまいました!!」

肩で息をして元気に駆けてくるセイの姿。

随分たくましく、頼りがいのある存在へと成長したセイの姿。

「随分お待たせしてしまいましたか?」

いつもは待たされる方が多いのに。

セイは唇を尖らせて訴えた。

「大丈夫ですよ。でも、少し眠いんです。しばらく・・・・・・」

今日は一番隊は一日休日。時間はたっぷりある。

総司は瞳を閉じた。

「・・・・・はい」

セイが隣りに腰を下ろす気配。

ふうわりと訪れる、自分を包む穏やかな風。

「?」

袴に触れた感覚にセイは視線を落とした。

袴の端を握り込む総司。その表情は少し苦しそうで、眉根が寄せられている。

「・・・・沖田先生?」

セイの声を聞いたとき、ふいに体が軽くなったような気がした。

優しい声音を聞きながら、総司は意識を手放した。

 

教えてよ 僕に 夢の見方を誰か 目の前に起こる 全て見届けるから

教えてよ 僕に 夢の見方を誰か 知っていたはずのその答えを・・・・・。

 

大河ドラマの方で、総司喀血してしまいましたね><
その後、昔聞いていた古いCDを見つけて購入して聞いていたら
これからの総ちゃんセイちゃんにつながってしまいこんなお話になりました・・・。

2004.07.25 空子

 

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