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「沖田だな」
二人でのんびりと話をしながら歩き、人通りが少ない小路に入った時だった。
背後から長州訛りの浪人に声を掛けられた。
前方からは二人。
(四人か)
セイと沖田は咄嗟に背中合わせになり刀を抜いた。
セイは手抜き緒をかける。
「覚悟っ!」
浪人が切りかかってくる。
備えて一つ呼吸したときだった。
「神谷さんっ!」
(えっ?)
沖田がセイの襟を掴み道端へと突き飛ばし、相手に向かう。
「沖田せんせいっ」
(私は、まだ足手まといなの??)
悔しい気持ちで様子を見守る。
一人を切り倒し、二人目が沖田に向かって行く。
沖田は本調子でないためか、いつものようなキレはなく足下もおぼつかない様子。
(いつも守られてばかりの私じゃないっ!)
思った瞬間、セイは路に躍り出ていた。
一人を袈裟掛けに切る。
人を突くと、相手の身体から刀が抜けなくなる可能性が出ることは池田屋で覚えた。
(あと二人っ!)
背後に沖田をかばいつつ相手との間合いを取る。
「・・・お前が噂に聞く阿修羅か」
「?」
刀と刀がぶつかった時、小さく相手がつぶやいた。
気を取られたところで相手に突き飛ばされた。
体制を整えている間に敵は背中を向け去っていった。
「・・・」
大きく肩で息をする。
血に濡れる手。
ぐいと手ぬぐいで拭って沖田へと駆け寄った。
「大丈夫ですか?沖田先生っ!!」
沖田は刀を持ったまま、呆然とセイを見ていた。
顔色が悪い。
通り掛かりの町人に自分の名を伝え、
番屋への通報をお願いし、セイは沖田に肩を貸すと、近くの茶屋へと入った。
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