「そろそろ出よっかな」

考え込んでいたら、体を温めるを通り越してしまっていた。

 

 

「困りますよ〜っ」

ふいに台詞通りに困った声が外から聞こえた。

(沖田先生?)

廊下でバタバタという複数の足音がした。

セイは聞き耳をたてた。

「とって食おうってんじゃねぇし」

(え?原田さんっっ??)

「神谷さんは、まだ火傷の傷を隠してらっしゃるんですからー」

「わかってるって、ここで待つだけだし」

(どうしよ〜っ)

今の自分は一糸纏わない女子の姿。

湯船から出て着物を置いてあるところに行きたいけれど、

音を立てたら、扉を開けられてしまうかもしれない。

とりあえず、手ぬぐいをとろうと湯船から手を伸ばした。

(あれ?)

視界がグラリと回る。

そのまま意識を手放した。

 

 

ガタンッ!

風呂場から大きな音が響いてきて

廊下で座り込んでいた沖田と原田は顔を見合わせた。

原田が立ち上がった。

沖田はセイが女子と知っているため、どうしようか迷ってしまった。

その一瞬の判断の差で原田に先に入り口に立たれてしまった。

「神谷さんはっ」

沖田が必死に原田に声をかけた。

「バカヤローッ!中で何かあったかもしれないんだぞっ」

いいながら風呂場の戸を開いた。

湯気の立ちこめる中にはうずくまるセイ。

驚いて近寄った。

「おい、神谷、かみ・・・・やぁ??」

抱え直して驚いた。

(・・・・女??)

入り口に額に手をあてて立つ沖田と目が合った。

(こいつ、知ってやがったのか)

沖田がセイの着物を原田に投げた。

「ちっ」

投げられた着物をつかみ、セイの体を包み込んだ。

沖田は腹をくくったのかセイを原田に任せると

布団の用意を頼むために部屋を出ていった。

 

 

「よぉ」

気がつくと最初に目に入ったのは原田の顔だった。

「??」

布団から跳ね起きて、

沖田に救いを求めようとキョロキョロ周りを見回す。

(お、沖田せんせーい)

「総司ならいねぇぞ。夜は巡察だ」

「あっ」

自分も一番隊。行かなくちゃ。

「お前は病欠だ」

立ち上がろうとするセイを

手ぬぐいを額に押しつけ寝かせた。

「・・・・・」

(どうしよう。・・・見られた、よね?)

屯所にはいられなくなるのかな?

切腹になるのかな・・・・?

「・・・はぁ」

先ほどから何度か原田の溜め息が聞こえる。

呆れられたのかもしれない。

今までだましていたのだから嫌われたのかもしれない。

(嫌われた・・・?)

そう思ったら涙が出てきた。

原田が見てくれていたのは、武士の自分で女子の自分じゃない。

(あぁ、そっか。私、原田さんのこと好きなんだ)

気づくのが遅すぎた。

「だぁぁぁぁ、もうっ!」

原田が突然頭をガシガシと掻いて叫んだ。

セイはびくりと体をすくませた。

セイの涙を自分の着物の袖で乱暴に拭う。

「・・・・総司は知ってたんだな」

「・・・・はい」

隠しても仕方がないので今までの経緯を話した。

「そっか・・・・」

「・・・・・何をしてるんですか?」

原田がペラリと布団をめくっている。

「今日は一緒に寝る」

「は?」

突然の展開に涙も引っ込んだ。

セイは真っ赤になって布団を奪い返す。

「総司よりもお前に近づいてやるっ」

原田の言葉に呆気にとられているセイから布団を奪い潜り込んだ。

暴れるセイを抱き込んだ。

男と女ということ、明里や町の娘から聞いたのとは

順番が全く違う。

文を交わしたり、一緒に出かけたり・・・。

こういうことは、その後じゃないの??

原田といると、予想もつかないことばかりだ。

「バーカ、何にもしねぇよ」

言葉にセイの抵抗が少しおさまる。

「今日は、な」

ニヤ〜と助平そうな笑み。

身の危険を感じてセイはまた暴れ出した。

「冗談だって、おとなしく寝ろよ」

下手な子守歌を歌いながら、セイの背中をあやすようになでた。

しばらく抵抗していたけれど、

その腕と声が温かくて、セイはまたポロリと涙を流した。

肩が震えてるのを気づかないフリして

原田はセイの体から力が抜けて穏やかに眠りにつくまで

しばらくの間あやし続けていた。

 

 

ふくこ様、お待たせいたしましたー。
またまたぬる〜い^^;
女の子ということばらしてしまいました。
女子としての多感な時期を武士として過ごしていたセイちゃんなので
年の割に、とっても考えが幼いセイちゃんにしてしまいました。
(私が書くセイちゃんは、いつもそうですが^^;;)


総司は、お兄ちゃんとして登場してもらいました。
自分が末っ子だから、年下のセイに対して立派なお兄ちゃん役を
こなそうとガンバルのに空回りな、ちょっとヘタレな総司兄ちゃんでした^^;

こんなんでよろしければ、もらってやってくださいませー^^

また、よろしくおねがいします(*´∇`*)

2003.10.13 空子

 

BACK

top

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送